ゆるさとLabo

【第3章】地域に関わろうとする「動機」を独自に分類!(調査編①)

みなさま、こんにちは。ゆるさとLabo研究員の臼井です。今回からは、「若者関係人口は、地域とどのような関わり方を欲しているのか」という研究課題を解き明かそうとした調査について紹介していきます。

まずは、前回のお話【第2章】若者関係人口は、地域とどのような関わり方を欲しているのか(仮説編)に関して簡単に振り返っていきましょう。

 

●仮説構築:関係人口となる動機には「他者との関係性における志向」が影響する

私たちは、先行研究から、関係人口となるような若者を観察していると「他者とつながりたい」「誰かに貢献したい」「自己研鑽をしたい」などの欲求が見えてくることがわかりました。私たちは、若者の抱く様々な「自分と他者との関係性についての志向」によって地域と関わろうとする動機や欲求、関わり方が異なってくるのではないかという仮説を立てました。

 

●調査設計:関係性についての志向(意識)と実際の関わり方の志向(行動)を分類

私たちは、「若者が持つ『関係性についての志向』によって、関係人口となる動機や実際の関わり方が異なる」という仮説を検証すべく、関係人口化している若者への調査を実施することとしました。尋ねる枠組みを考えるため、国土交通省などの先行研究を参考に、調査対象者と関わり方の分類は以下のように設定しています(図1)。

 

 

上記に加えて、関係している地域先での活動実態(訪問頻度、滞在日数、費やす金額)や活動に対する動機・理由(はじめたきっかけ、続ける理由)などを尋ねています。

また、「関係性についての志向」については、価値観に関する60の設問を用意して、因子分析を用いていくつかの「志向」を策定することにしました。さらに、因子得点を用いたクラスター分析を用いて、「関係性についての志向」と実際の活動実態・活動対する動機等がどのように関連しているのかを明らかにしていきました。

まとめますと、今回の調査は、関係人口化した若者に、「関係性についての志向(意識)」と実際の関わり方の志向(行動)を尋ね、その意識と行動を鑑み、関係人口をいくつかのタイプに分けていくことを目指した調査になります。

 

●調査結果:因子分析(関係性についての志向)

今回の調査では、606名の関係人口化した若者に対して、60の設問を問い「関係性についての志向」を明らかにしていくことを試みました。詳細の設問内容は割愛しますが、以下5つの因子を策定することができました(図2)。

 

これら5つの因子は、関係人口化した若者がそれぞれの割合で保有していた「素質」のようなものです。この因子を用いて、「aさんは利他性因子と外向性因子が高い」「bさんは独自性因子が突出して高い」など、個々人の各因子の度合い(因子得点)を見ることができます。その因子得点を用いて、若者関係人口を7つのクラスター(まとまり)に分類していきました。

 

●調査結果:クラスター分析

因子得点に加えて、地域活動の種類を見ることで、各クラスターの大分類を行いました。
各クラスターにおいて、地域で何かを生み出す活動をしている「直接寄与型」が含まれる割合と、地域で何かを消費する活動をしている「趣味・消費型」が含まれる割合を見ていきました(図3)。

 

それらをもとに若者関係人口を独自の定義「生産型」「消費型」「一般型」に分類していきました。これにより、地域に関わる若者の中には、地域づくりに資する生産型と、観光的な欲求を満たそうとする消費型に分類されることを明らかにすることができました(図4)。

 

今回のコラムは以上となります。

私たちは、持続可能な地域づくりのためには、若者関係人口の中でも、生産型関係人口こそ重要だと考えていますが、次回からはその生産型関係人口について詳細を見ていきたいと思います。ご期待ください!

 

※この研究は、日本マーケティング学会主催「マーケティングカンファレンス2020」のポスターセッションにおいて、「ベストポスター賞」に選出されました。