ゆるさとLabo

【第5章】関係人口タイプA「地域貢献リーダー」の紹介

みなさま、こんにちは。ゆるさとLabo研究員の臼井です。今回も前回に引き続き、「若者関係人口は、地域とどのような関わり方を欲しているのか」という研究課題を解き明かそうとした調査について紹介していきます。本日は地域づくりの重要な担い手となり得る「生産型関係人口」のタイプである「地域貢献リーダー」について紹介いたします。まずは、前回のお話【第4章】積極的に地域づくりに関わろうとする生産型関係人口(調査編②)について簡単に振り返ります。

 

●関係人口の中で注目すべき「生産型関係人口」

若者関係人口を対象にした独自調査から、地域づくりに資する「生産型」の割合はおよそ38.9%であることがわかりました。彼らの特徴として、高頻度訪問(月に2回以上)、長期滞在(2泊以上)、移住意向の高さ、活動を続ける理由が「地元の人に喜んでもらいたい」「自分のやりたいことだから」「地域の課題や跡取り不足を解消したい」などであることが、明らかになっています(図1・図2参照)。

 

 

生産型関係人口であるタイプA~タイプDについて、属性や関係性の志向、地域活動の実態や理由をもとに詳細のタイプ像を描き、生産型関係人口については以下のように設定しています(図3参照)。

今回はその中から、タイプAの「地域貢献リーダー」についてご紹介していきます。

 

 

●「地域貢献リーダー」は自分の能力を活かして地域を引っ張る存在!

 

地域貢献リーダーの特徴をまとめたものが下記のシートになります。

 

 

まず属性として、若者関係人口の中でも30代、特に35歳以上の割合が多いのが特徴です。キャリアをある程度積み、セカンドワークとして地域に活動の機会を求めているような年代であることが想像されます。活動内容としても、地域の人との交流に積極的な他、まちおこしや地域産業に携わる活動の割合が多いことが特徴に挙げられます。

活動理由としては、「地域を盛り上げたい」「自分の成長や生きがいを感じることができる」といった回答に特徴があり、こちらは価値観の特徴である「利他性」「独自性」とリンクする部分でもあります。その他にも「本業にいい影響がある」という理由にも特徴があり、自身のキャリアの中で地域活動を成長機会と捉えている傾向もあります。

そういった特徴からなのか、活動の継続意向も高い一方、他の地域での活動にも関心の高くなっています。地域としては、永続的な定住・定着は見込みづらいですが、活動を推進する上で貴重な「助っ人人材」となり得る可能性を秘めています。

まとめますと、地域貢献リーダーは、地域ならではの資産に惹かれ、自分の能力を活かして活躍する機会や解決する課題があるような地域で活動しているようです。関係人口の中での構成比率はおよそ10%ですが、魅力ある資産がある一方で課題が多い地域では、このタイプへのアプローチをしていくことが重要になりそうです。

 

今回のコラムは以上となります。次回は生産型関係人口のタイプB「スマートサポーター」について詳細を説明していきます。ぜひご期待ください!

 

※この研究は、日本マーケティング学会主催「マーケティングカンファレンス2020」のポスターセッションにおいて、「ベストポスター賞」に選出されました。