ゆるさとLabo

【第4章】積極的に地域づくりに関わろうとする生産型関係人口(調査編②)

みなさま、こんにちは。ゆるさとLabo研究員の臼井です。今回も前回に引き続き、「若者関係人口は、地域とどのような関わり方を欲しているのか」という研究課題を解き明かそうとした調査について紹介していきます。
まずは、前回のお話【第3章】地域に関わろうとする「動機」を独自に分類!(調査編①)について簡単に振り返ります。

 

●調査結果:因子分析・クラスター分析による関係人口の分類化

関係人口となった若者の「関係性についての志向」を5つの因子によって表現し、合わせて、因子得点をもとに7つのクラスター(まとまり)に分類しています。大まかな傾向を把握するために、関係性についての志向を、他者を重視する「利他性因子」「外交性因子」「先行性因子」と、自己を重視する「独自性因子」「内向性因子」に二分しました。
さらに各クラスターにおいて、地域で何かを生み出す活動をしている「直接寄与型」が含まれる割合と、地域で何かを消費する活動をしている「趣味・消費型」が含まれる割合を見ていき、生産型と消費型に二分しました。
縦軸に生産型・消費型という地域活動の軸と、横軸に他者重視・自己重視という関係性に対する志向の軸をとり、整理した図が以下になります(図1)

 

本日はその中で「生産型関係人口」についてご紹介していきたいと思います。

 

●調査結果:生産型関係人口の特徴

先述の分類にて、生産型に当てはまったクラスターA・B・C・Dについて、その特徴を消費型と比較して見ていきましょう。

まず、訪問頻度を見ていくと、月に2回以上という高頻度来訪の割合について、クラスターA・B・Dが高くなっています。また、滞在日数を見ると、2泊以上という長期滞在の割合が、クラスターB・Dについて高くなっています(図2)。

 

活動を続ける理由を見てみると、「地元の人が喜んでくれるから」はA・Dが多く、「魅力的な地元の人がいるから」はB・Aが多く、「自分のやりたいことだから」はC・Aが多く、「親戚、家族の地域の課題や跡取り不足の解決をしたいから」はB・Dが多い結果になりました(図3)。

 

将来的な移住意向を見てみると、Dが突出して高く次いでBという結果になっています(図4)。

 

上記を考慮すると生産型関係人口は「高頻度訪問」「長期滞在」「活動を続ける理由」「移住意向の高さ」から地域づくりの担い手となり得る重要な存在であることが伺えます。

 

●調査結果:生産型関係人口のタイプ像

さらに、属性や関係性志向、地域活動の実態や理由をもとに詳細のタイプ像を描き、生産型関係人口については以下のように設定しています。

今回のコラムは以上となります。次回からは生産型関係人口についてそれぞれのクラスターについて詳細を説明していきます。地域づくりを担う重要な彼らですが、詳細を見ていくと、活動の動機や実態に違いがあることが見えてきました。ぜひご期待ください!

 

※この研究は、日本マーケティング学会主催「マーケティングカンファレンス2020」のポスターセッションにおいて、「ベストポスター賞」に選出されました。