
サイレントラブマーケティング
サイレントラブ Silent Love
(1)好きなモノ・コトを、“人には共有しないで自分だけで楽しむ”という気持ち。
(2)または、その態度のこと。
※サイレントラブは、小田急エージェンシーの登録商標です。
●研究の背景・経緯 居心地の良い場・空間に必要な融和とは
小田急エージェンシーでは、さまざまな場・空間を通して人と人がつながる居心地の良い空間を演出することを提供価値として活動しています。
そのような居心地の良い場・空間を演出するためには、生活者の意識や状態をしっかりと理解することが必要と考え、生活者心理の研究を開始しました。
居心地の良い場・空間は、さまざまな人が存在する中、コミュニティによる違いを融和していく必要があります。
そんな中、昨今昔からのファンと新しいファンの間で意識的な違いによる軋轢が生まれるという話題や日本人と外国人による意識やルールの違いによって軋轢が生まれるといった話題など、場・空間において融和に苦労している話題を目にすることが多くありました。
そのため私たちは、そのような現象が起きる原因を明らかにすることが居心地の良い場・空間つくりに欠かせないと思い、その融和における重要な内容として、顕在している意識だけでは無く、顕在化していない潜在的な意識の把握もする必要があると考えました。
●新たな生活者心理の発見
今回私たちは、昔からのファンと新しいファンが融合することなく、昔からのファンが去っていくという事例に着目し議論を重ねました。
その結果「人は好きなモノ・コトであっても誰にでも共有するわけではないのではないか」という仮説が導出され、
この意識の存在が、先ほど挙げた事例のような融和の妨げになっているのではないかと考えました。
そこで、上記の仮説を立証するために、全3回(アンケート調査2回、MROC調査1回)に分けて、生活者の意識調査を実施しました。
この意識調査によって、私たちが導出した仮説「人には好きなモノ・コトであっても共有しないで自分だけで楽しむ」という意識が、共有する意識と同程度の割合で存在することを発見しました。
●SNS時代における「共有しない」の存在
昨今、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)で発信する人こそが顧客であり、彼らの声が真の声としてマーケティングやコミュニケーション活動に活用されることが多いと思います。
しかし、今回の調査によってその意識だけを捉えると顧客理解に偏りがあることが分かりました。
要するに、顕在化していない意識が存在するということです。
今回の研究では、生活者意識の中に「好きなモノ・コトであっても共有しないという意識も存在する」という発見をすることが出来、居心地の良い場・空間を作るためのヒントを得たと共に、昨今のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス=共有意識)を活用したマーケティング活動に対するアンチテーゼ(共有しない意識の存在)を提唱しています。
次回以降のコラムで、調査方法、発見内容、マーケティング示唆などをお伝えしていきますので、どうぞご期待ください。
この研究は、日本マーケティング学会が毎年開催をしている「第7回マーケティングカンファレンス2018」のポスターセッション部門の大賞(今後期待できるマーケティング研究)を受賞しました。
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