
「好きだけど言わない意識」は、適度な距離間で長期消費をする“優等生”意識?
みなさま、こんにちは。
サイレントラブマーケティングコラム第3弾です。
前回は「好きだけど言わないモノ・コトを持っている人って本当にいるの? 新発見の顧客心理」と題し、
SNS時代の共有マーケティングに新たな顧客心理を発見し、問題提起を行いました。
本コラムでは、その「好きだけど言わない」という顧客心理の特徴を明らかにしていきます。
まずは、前回の内容をさらりと記載します。
詳しくは「好きだけど言わないモノ・コトを持っている人って本当にいるの? 新発見の顧客心理」 をご覧ください。
― 実は“好きだけど言わない”意識を持っている人が、多い
・どんな相手でも状況でも共有しない意識 34.7%
・相手や状況によっては共有しない意識 23.1%
・どんな相手でも状況でも共有する意識 42.2%
実は“好きだけど言わない”意識の割合は、混在型も含めると57.8%と6割弱を占めているという発見をしました。
こうなると、顕在化している声は、真の顧客の声は“共有していない意識”にあるのではないかという仮説ができあがりました。
そこでまずは、「好きだけど言わないモノ・コト」はそもそもどんなモノ・コトなのか、
そしてそのモノ・コトとの付き合い方はどのような付き合い方なのか、から分析をしていきます。
●「好きだけど言わないモノ・コト」は、真の顧客の声であり、ライフタイムバリューの高い意識
―「好きだけど言わない意識」になりやすいモノ・コトとは?
好きだけど言わない意識で非常に核心に近いこととして、やはり一体どのようなモノ・コトがそのような意識を持ちやすいのか。
その部分ではないでしょうか。
私たちもとても気になり、実際に多くのジャンルにおける具体的なモノ・コトを提示し、選んでもらうことで明らかにしました。
その結果をまとめたのが下記の図です。
図1 「共有する」と「好きだけど言わない」モノ・コト
共有するモノ・コトを見てみると、やはり前回コラムでも明らかにした「自分の魅力を高めてくれる」イメージのあるモノ・コトが上位にきています。
海外旅行、ファッション、国内旅行、グルメなど非常に分かりやすい結果となりました。
一方、好きだけど言わないモノ・コトはどうでしょうか。
国内旅行、ファッション、海外旅行などが上位にきており、グルメも多く選択されているという事が分かりました。
つまり、比較してみると
「共有する」モノ・コトと「好きだけど言わない」モノ・コトは、多少の順位の違いはあれど、多くが共通している
という事です。
私たちの仮説は、はっきりと意識間でモノ・コトは分かれると考えていたので、とても意外でした。
また、青枠で囲んだモノ・コトは、どちらのランキングにも含まれているものの、
数値では差が出ているため今後のポイントになりそうだと考えました。
このような結果から、モノ・コトが意識間において多くが共通しているという事は、
ますます「好きだけど言わない」という意識を把握することの重要性が高いということが言えると考えています。
―「共有する」モノ・コトと「好きだけど言わない」モノ・コトとの付き合い方は?
次に、それぞれの意識におけるモノ・コトとどのような付き合い方をしているのかを探るために、
「依存度」「期間」「投入金額」という分析項目でまとめてみました。
図2 依存度 図3 好きな期間 図4投入金額
まず、「依存度」です。
これにははっきりと違いがみとめられました。
共有する意識の方が、好きなモノ・コトに対する依存度が“倍”程度高いという結果となりました。
次に、「好きな期間」です。
こちらの項目にもはっきりと違いがみとめられました。
好きだけど言わない意識の方が、好きなモノ・コトとの付き合う期間が“4年以上長い”という結果となりました。
最後に、「投入金額」です。
こちらの項目は、多少の差が見られました。
平均金額では意識間での差はあまりなかったのですが、10万円で区切ると、好きだけど言わない意識の方が“8%”ほど消費意欲があるという結果となりました。
私たちはこの結果から、
共有する意識は、「熱しやすく冷めやすい」、
そして好きだけど言わない意識は、「適度な距離間で長く関係を持ち、消費もする」という付き合い方であると考察しました。
以上の分析から、
・共有する意識は、「自分の魅力」を意識し共有し、熱しやすく冷めやすい、スイッチしやすい意識である。
・好きだけど言わない意識は、「適度な距離間で長く関係を持ち、消費もする」けれども人には教えてくれない意識である。
ということが言えると考えています。
このような分析からすると、
好きだけど言わない意識は「顧客の声としての価値」そして「ライフタイムバリュー」という観点での価値を含む重要な意識である
と結論付けられました。
いかがでしたでしょうか?
私たちがこの研究の中で最も驚いたのが、「共有したいモノ・コト」と「好きだけど言わないモノ・コト」がはっきり分かれると仮説を立てていたのですが、似通っているという事でした。
これによって、ますますこの研究は興味深くなりました。
そして、マーケティング価値があると認識を強めていきました。
みなさまにとっても意外だったのではないでしょうか?
今回のコラムは以上になります。
次回は、「好きだけど言わない」のはなぜなのかに迫ってまいりますので、
ご期待ください。
調査概要
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