

【第5章】生産型関係人口 タイプD「ルーツターン会社員」の紹介
みなさま、こんにちは。ゆるさとLabo研究員の増田です。
今回も前回に引き続き、「若者関係人口は、地域とどのような関わり方を欲しているのか」という研究課題を解き明かそうとした調査について紹介していきます。
本日は地域づくりの重要な担い手となり得る「生産型関係人口」のタイプである「ルーツターン会社員」について紹介いたします。
●「ルーツターン会社員」は地域の跡継ぎ不足や活気を失っていく地域の課題を、仕事を通して解決していく取り組みを一緒にできる存在!
ルーツターン会社員の特徴をまとめたものが下記のシートになります。

まず属性として、若者関係人口の中でも30代、男性の割合が多いのがこのタイプの特徴です。また、会社員の方が中心となっていて、副業や兼業など本業にとどまらない活動をしていることが特徴です。A~Cの自分のスキルや経験、貢献活動を主体としたタイプとは一線を画し、仕事の継承や産業の創出など地域に実業を創出するための活動まで意識していて、地域にとって不足しがちな仕事と担い手になってくれる非常に貴重な存在であることが理解できます。
そのため活動内容は、スキルやノウハウの提供というよりは、今までの社会人経験を活用した仕事を継いだり作ったりする活動が中心で、輪の外ではなく輪の中に入ってくれる活動が主体となっている。
活動理由としては、「親戚、家族が地域の課題や跡取り不足に悩んでいた」という回答に特徴があります。
このタイプは、自分のルーツ、生まれ育った地域にとどまらず、学生時代過ごした場所、社会人でお世話になった地域、友人の大事な地域など自分のルーツにおける接点のあった地域に意識が向いています。このような意識と仕事などを通した関係になるため、将来的な移住意向が高いことが特徴として見受けられます。
価値観の特徴としては、すべてにおいて特徴が無いことが特徴です。
おそらく自己実現欲求という形での成長機会や貢献欲求を通した社会貢献ということではなく、仕事や実業を通した生き方を変える選択を取るタイプであることであるため、価値観の特徴が出ないという結果に影響していると考えられます
まとめますと、ルーツターン会社員は、地域の衰退や跡取り不足の問題点を自分事として捉え、実業を通した再興に取り組みたいというタイプ。外から支えるというサポート型ではなく、中心にしっかりと入り込んで活躍が期待できる貴重な存在になります。
地域側も明確に課題を提示することで、課題解決を実業を通して取り組んでくれるだけにとどまらず、移住という形で生き方を変えて一緒に取り組んでくれる可能性も秘めているタイプです。
今回のコラムは以上となります。次回は消費型関係人口のタイプA「サバイバルファミリー」について詳細を説明していきます。ぜひご期待ください!
※この研究は、日本マーケティング学会主催「マーケティングカンファレンス2020」のポスターセッションにおいて、「ベストポスター賞」に選出されました。
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