

【第5章】生産型関係人口 タイプC「自分磨き学生」の紹介
みなさま、こんにちは。ゆるさとLabo研究員の上田です。
今回も前回に引き続き、「若者関係人口は、地域とどのような関わり方を欲しているのか」という研究課題を解き明かそうとした調査について紹介していきます。
本日は地域づくりの重要な担い手となり得る「生産型関係人口」のタイプである「自分磨き学生」について紹介いたします。
●「自分磨き学生」は将来のために自分の成長ややりがいを感じることに没頭する存在!
自分磨き学生の特徴をまとめたものが下記のシートになります。

まず属性として、若者関係人口の中でも学生の割合が多い、また女性の割合が多いのもこのタイプの特徴です。学生の間の時間を活用して、普段の生活では得られない成長機会を欲して活動をする。まだ明確なスキルを持っていないので地域への貢献意欲が高く、金銭的メリットではなく奉仕の精神で共助の形で取り組んでくれる存在であることが理解できます。
そのため活動内容は、高度なスキルの提供ではなく、自分の興味と地域の課題を掛け合わせ、楽しみながらも一生懸命地域貢献をし、その活動を通して自分の成長を見出す内容が主体となっている。
活動理由としては、「自分の成長やいきがいを感じることができそう」「魅力的な地元の人に出会ったから」といった回答に特徴があります。
ただし、地域での活動意欲は高いが、他の地域へと活動を広げたい意欲も高く、地域に深入りしてもらうためには一工夫が必要。
しっかりと受け入れる体制や成長に繋がる機会を相互に理解しあいながら共助精神で取り組めないと他地域に行ってしまったり、意欲の低下などに繋がりやすいとも言えます。
価値観の特徴として「内向性因子」「外向性因子」「独自性因子」が特徴として出ているため、内向的に没頭できる、一方でしっかりと外向性因子が高い特徴のように地域とのコミュニケーションもニーズとして期待しています。また独自性に期待しているためその地域ならではの機会や体験の取り込みも重視している可能性があります。
そういった特徴からなのか、活動の継続意向も高い一方、他の地域での活動にも関心が高くなっています。
まとめますと、自分磨き学生は、地域の魅力が明確になっていて、自分の成長に繋がる機会が提供されると、金銭的なメリットが伴わなくても共創をしてくれる貴重な存在になります。一方で、地域はやりがい搾取や意欲だけをあてにした機会提供にとどまると、地域から離れるのも早い存在であることも理解する必要があるタイプです。
今回のコラムは以上となります。次回は生産型関係人口のタイプD「ルーツターン会社員」について詳細を説明していきます。ぜひご期待ください!
※この研究は、日本マーケティング学会主催「マーケティングカンファレンス2020」のポスターセッションにおいて、「ベストポスター賞」に選出されました。